About the work

『Pure Core』

ダンスは毒であり、薬である。

ある時には排除され、またある時には無理にでも飲み込まされる。

頭が重く、考えることについて考える時間が高速で過ぎている。錠剤を2錠手に取り、ウーロン茶で流し込む。胃の粘膜を通して、脳がむりやり解きほぐされる。頭の中で、数を数える声が止み、静かな狂気が訪れる。深層からこみ上げる自己破壊の衝動は、外部に霧散する事なく、身体そのものを巻き込みながら、らせん状に虚の領域へと崩落していく。

症状的で異質(alien)な身体へと向けられた眼差しは、常に我々自身による他者への恐れ、欲望、そして執着を内包し、それらを通さずに身体というものを網膜に捉えることはできない。そこに映る疎外された(alienated)姿は、空虚な中心点を巡るように何度も回帰し、踏みとどまり、傷として跡を残す。振り払うことのできない欲動に突き動かされ、私は薬を飲み、ゆっくりとしたリズムに身体を揺らされながら溶けてゆく。

この作品で我々は、不安の中で重なり合う20世紀初頭と現代の踊る身体を接続し、自身と似たものでありながら異質な他者を塑像する。舞踊史、精神医療、そして近代規範の社会史を参照し重ね合わせることで「表現(ex-pression)」という言葉を捉え直し、再起動させようという動きの中で思い知るのは、自身の内部には外部へ投影する中心などないという事だ。むしろこの肉体は、それを眼差さす視線を反転した形で映し出すスクリーンであり、メディアとして機能する剥き出しの生なのだから。

『Pure Core』
初演|2020年12月4日-6日
会場|THEATRE E9 KYOTO

出演|黒田健太 藤田彩佳 益田さち
振付|児玉北斗
照明|藤本隆行(Kinsei R&D)
音楽|平野みどり(MimiCof)
音響|高田文尋(株式会社ソルサウンドサービス)
舞台監督|河村竜也
制作|竹宮華美
映像|長良将史
写真|金サジ
滞在制作協力 | 太田夏来
ビジュアルデザイン|三重野龍

主催|児玉北斗
共催|Kinsei R&D
助成|公益財団法人 アサヒグループ芸術文化財団
公益財団法人 小笠原敏昌記念財団
文化芸術活動の継続支援事業
提携|THEATRE E9 KYOTO(一般社団法人アーツシード京都)
滞在制作|城崎国際アートセンター(豊岡市)
京都芸術センター制作支援事業
機材協力|カラーキネティクス・ジャパン株式会社

“Pure Core”
Premiere: Dec. 4th, 2020 at THEATRE E9 KYOTO

Dancers: Ayaka Fujita, Kenta Kuroda, Sachi Masuda
Choreography: Hokuto Kodama
Lighting: Takayuki Fujimoto (Kinsei R&D)
Music: Midori Hirano (MimiCof)
Sound Engineering: Fumihiro Takada(SOL Sound Service)
Stage Manager: Tatsuya Kawamura
Management: Hanabi Takemiya
Video: Masashi Nagara
Photo: Sajik Kim
Residency Support: Natsuki Ota
Visual Design: Ryu Mieno